医療通訳テキストの作成

医療通訳テキスト

 

医療通訳育成カリキュラム基準に添った公式テキスト

 

編集 特活)多文化共生センターきょうと

B5版 507頁(+巻頭人体図18頁)

発行 2014年3月31日

発行所 一般財団法人 日本医療教育財団

 このテキストはセンターが発行している「医療通訳の実学・実技・実践」を参考に、育成カリキュラム基準で規定された内容に従って構成や内容を作成しました。執筆は、医療通訳育成カリキュラム基準作成委員会が中心になって行いました。

「単語集」を一部更新いたしました。

医療通訳テキストの巻末に掲載している単語集を更新いたしました。最新版は下記からダウンロードしてください。

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単語集
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テキストのポイント

 このテキストでは医療通訳の役割を明確にし、医療通訳者学ぶべき知 識、身につけるべき知識、専門家としての姿勢についてこれまで以上に踏み込んで記載し、明確にしました。以前センターで執筆した「医療通訳の実学・実技・ 実践」は、主にボランティア通訳を対象として執筆しましたが、こちらは病院で雇用される専門職としての医療通訳者という想定で作成しています。

通訳の役割を明確化
  特にこれまで曖昧であった通訳者の役割については、「ことばの媒介者」「文化仲介者」と明示しました。また、通訳者が権利擁護をするべきかについては、諸外国でも 活発に議論されているテーマであり、実際の通訳養成や派遣をしている中で、個々の通訳者によってかなり理解や解釈に差があることを感じています。本テキス トでは、「権利擁護」については、通訳者の本来の役割ではないが、必要なときのみ行うことができるという立場で取り扱っています。

 文化仲介者の役割は、まだ日本では十分な議論がされていませんが、欧米の医療通訳(コミュニティ通訳)においてはすでに通訳者の役割として定義されています。しかし、日本では必要であるという 意見が多くなってはきているものの、その内容や範囲については定義されず、あいまいなままになっていました。こうしたことが、逆に医療通訳者の個々認識の 差を生み、医療通訳者の介入のレベルが必要以上に深くなってしまう結果をいます。特に権利擁護については、通訳者が常に患者の擁護者、代弁者であるように 行動、介入するということにも繋がってしまっています。

 講師としてさまざまな地域の通訳者、とくにボランティア通訳者の育成に携わってきて、この項目のを個々の解釈の違いが通訳者の行動に影響し、現場でさまざまな問題を引き起こしていると感じていました。

 そこでこのテキストでは文化仲介や権利擁護などについて詳しく説明し、演習などで具体的な事例を提示し、研修生が通訳者の役割を理解し、きちんと考え、適切な行動をとることを学べるように工夫しています。

 

倫理についてより具体的事例を交えて解説

 医療通訳者の倫理は、大変大切なのですが、どうしても理念的になってしまいがちで、理解できていても倫理を自分の行動に結びつけることはなかなか難しいものです。このテキストでは、センターがこれまでの通訳派遣や育成の中で積み重ねて来た項目、事例を交えながら、できるだけわかりやすく、イメージできるよう解説しました、また各トピック毎に、場面を設定した事例ワークを設け、事例を通じて、具体的な事例から倫理を考え、行動に移せるよう工夫しています。倫理の執筆にあたっては医療通訳共通基準だけでなくスイスのコミュニティ通訳モジュールやアメリカ のコミュニティ通訳基準や倫理規定なども参考にしています。


医療通訳者に必要なコミュニケーション力

 通訳のコミュニケーションに言及し、医療通訳に必要な異文化コミュニケーションについて取り上げています。通訳者が注意すべき文脈や比喩などの言語メッセージ、身振り、姿勢、表情、視線、声の調子、声質、間や沈黙、空間や対人距離、身体接触など、言語以外から受け取る非言語メッセージについても取り上げています。その他、日本人のコミュニケーションの特徴や患者との接し方、や医療通訳者が文化仲介者としてどのように行動すべきなのかについて詳しく解説しています。

 

練習用教材集

 通訳トレーニングに欠かせない教材も豊富に掲載されています。その量は100頁を超えます。

実際の医療現場を想定した事例を設定して、医療従事者や患者の情報を紙に記載し、その記載情報に基づき行われるコミュニケーションの通訳練習であるペーパーペイシェント教材は科目問診、 検査、 診療科、 状況別などのさまざまな設定が掲載されています。また、模擬通訳で活用するロールプレイシナリオも17本掲載されており、受診の流れ・ 内科・ 呼吸器科・ 整形外科(2)・ 泌尿器科・ 歯科・ 精神科・ 産婦人科・ 小児科などの診療科の模擬通訳シナリオや 上部消化管内視鏡検査・ 呼吸(肺)機能検査・ 超音波検査・ 長時間心電図検査・ 大腸内視鏡検査・ CT 検査(造影剤なし)・ 造影CT 検査事前説明などの検査の模擬通訳シナリオを掲載しています。


研修受講者の選定基準、評価基準を提案

 医療通訳研修を受講するためのレベルが設定されています。巻末には医療通訳研修希望者へのレベルの確認、受講後の学習者の評価、研修を一部免除するバリデーションのための審査基準を掲載しています。

 バリデーションはスイス連邦の通訳制度の中で、経験のある、レベルの高い通訳者に対して、その能力を一定認め、研修を免除するシステムをモデルに設計しています。

 

指導要項の掲載

 研修を実施するにあたってのどのような内容を行うかの指導要項も各クラス(単元)ごとに作成しています。

医療通訳テキストの内容

医療通訳研修Ⅰ

• 医療通訳者の役割
(医療通訳についての基礎概念や知識)
• 言語プロフィール
(自分自身の言語能力の把握、用語集の作成方法)
• 専門職としての意識と責任
(医療通訳者として遵守すべき倫理)
• 身体の仕組みと疾患の基礎知識
• 検査、薬、感染症に関する基礎知識
• 通訳に必要な通訳技術Ⅰ
(学習した用語を活用し、逐次通訳を行うための基礎トレーニング)

医療通訳研修Ⅱ

• 日本の医療制度に関する基礎知識
• 通訳に必要な通訳技術Ⅱ
(技術の復習と模擬通訳)
• 医療従事者や患者の文化的および社会的背景についての理解
• 医療通訳者のコミュニケーション力
(異文化コミュニケーション、文化仲介と権利擁護)
• 医療通訳者の自己管理
(健康管理、心の管理)
• 通訳実技
(情報収集の方法、非言語コミュニケーションの応用、通訳業務の流れと対応、通訳者の立ち位置とその影響、場面別模擬通訳)



指導要項・規範・基準

指導要項
 医療通訳研修Ⅰ・Ⅱを実施するにあたり、各クラスの目標や指導内容、推奨講師、また研修後評価や能力審査(バリデーション)についての評価方法を提示しています。


医療通訳者の行動規範・医療通訳育成カリキュラム基準
 医療通訳者に対し、推奨する「医療通訳者の行動規範」と本テキストを作成するにあたっての基準とした「医療通訳育成カリキュラム基準」を掲載しています。

実習要項・教材集・単語集

実習要項
 医療通訳研修を履修し、一定の評価を得た通訳者に対して病院で実施する実務実習です。 実習生、ならびに受け入れ担当者に向けた研修指導内容についても掲載しています。


練習用教材集
 模擬通訳のシナリオや通訳トレーニングに利用する用例集など、本研修で利用する教材を掲載しています。


単語集
 医療通訳者が知っておきたい単語集です。

(日・中・英・ポルトガル・スペイン語併記)




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医療通訳テキスト目次・執筆者一覧.pdf
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テキストの入手方法

現在本テキストは販売しておりません。専門医療通訳養成コースの受講者に対して配布しております。

データーは厚生労働省のホームページよりダウンロードできますので、個人の方はこちらをご覧頂きますようおねがいいたします。