外国人ママのための医療通訳養成講座 2009

「ことば」で「いのち」を守るプロを養成する

日程 2010年2月26日 開講(全10回)
募集言語・募集人数 英語 5名 
決定方法 受講申請書を参考に書類審査で受講者を決定します
※多数の場合はヒアリングを実施する事がございます。


養成課程の参加対象・条件
・性別、国籍不問(対象者の背景に近いママ、出産経験者歓迎)
・通訳者としての実務経験のある方(医療現場での通 訳経験者歓迎)
・外国人支援に関心があり、外国人ママを支援したい方
・基本全日参加可能な方、修了後のテストが受けられる方
・養成課程修了後、4月から京都市内で通訳者として週1〜3回程度活動可能な方
・外国人ママの為の医療通訳者派遣事業における条件を満たしている方 (※を除く)

言語能力の目安 
・TOEIC 800以上/ TOEFL550以上/英検一級以上
・日本語能力検定一級以上
※資格はあくまでも 目安で必須条件ではありません。実務経験、現場経験を重視します

第1講 母子保健における在住外国人の現状と課題
この講義ではまず、日本語の不自由な外国人の病院受診時の問題点など医療通訳の現状についてワークショップ形式で考えました。
次に母子保健に関する制度の紹介や日本の母子保健に関する一般的な知識を学びました。そして、外国人ママが日本での妊娠・出産・育児に関する際の不安・疑問や問題があるのかなど、医療文化の違いや外国人ママのサポートに必要な知識を身につけました。
講師:篠田早苗(看護師・助産師・多文化共生センター きょうと職員)
   高嶋愛里(看護師・保健師・医療通訳コーディネーター)
 
第2講 通訳理論
京都橘大学英語コミュニケーション学科の教授西村先生に諸外国での医療通訳倫理や通訳技術としてメモ取りやサイトトランスレーションなど病院の現場で必要な英語の技術や知識、英語の勉強方法など実践をまじえて学びました。

講師:西村友美先生(京都橘大学英語コミュニケーション学科教授)
 
第3講 医療通訳者の姿勢
病院で通訳する者として必要な心構えとして守秘義務について、感染症についてなどの知識についてまなびました。
次に、病院での医療通訳者の通訳活動内容の流れを撮影しているDVDを見ながら、患者さんとの対面場面から、受け付け、診察、検査、支払、薬局、通訳終了時などの各場面での通訳者の注意点を学びました。
講師:重野亜久里(多文化共生センターきょうと代表)
   高嶋愛里(看護師・保 健師・医療通訳コーディネーター)


第4講 母子保健に関する医療知識
京都市内の産科婦人科 第2足立病院で通訳の現場見学実習を行いました。
産科ドクターや助産師さんから病院での健診の流れや周産期に関しての医療用語や知識について講義をうけました。
産科では独特の施設もあり、内診台にのる体験もできました。

講師:大坪一夫先生(産科婦人科第二 足立病院院長)

 

第5講 外国人母子に関する制度・手続き
京都市保健福祉局子育て支援部児童家庭課子育て支援担当の課長平野先生から京都市の母子保健に関する制度について講義を受けました。外国人ママが利用できる制度などについても学びました。

講師:平野 徹先生(京都市保健福祉局子育て支援部児童家庭課子育て支援担当 課長)

 

第6講 外国人ママとの交流会
四条河原町のタイ料理屋さんのバーンリムナームさんで、外国人ママ(ラオス・アメリカ・中国・インドネシア)5人から日本での出産経験についてのお話を聞きました。里帰りや戌の日など日本独特の風習に驚いたことや出身国の妊娠・出産に関する風習の紹介などのお話をトロピカルドリンクを飲みながら和やかな雰囲気で意見交換をしました。
 
第7講 母子保健サービス
京都市保健福祉局保健衛生推進室保健医療課の保健師上領孝枝先生から母子手帳の内容や妊娠・出産・育児に関するサービスとその手続き方法についてについてのお話を聞きました。また、多言語で発刊されている母子手帳の配布状況など紹介をしていただきました。
最後に母子手帳配布時にどのような会話がされるか実際に通訳体験を行いました。

講師:上領孝枝先生(京都市保健福祉局保健衛生推進室保健医療課)

 

第8講 事例研究
神 戸大学大学院保健学研究科博士前期課程で国際保健学を選考され、在日外国人の前野満美先生から在日外国人の周術期医療・保健の現状についての研究報告を聞 きました。出身地域によっては、痛みに敏感な地域がある、外国人患者対応における医療者の不安についてなど学ぶことができました。また、手術時の麻酔の種 類別毎のシチュエーションに合わせた通訳体験を行いました。
講師:前野満美先生(神戸大学大学院保健学研究科博士前期課程)
 
第9講 場面別ロールプレイ その①
健 診・診察場面についての通訳体験では通訳が困難な場面やトラブルが発生した時の対応について学びました。外国人患者の文化・来日背景を把握していることに よって通訳がスムーズに進むということもあるということがわかりました。前半に学んだ通訳の基本姿勢を身につけておく必要性を実感しました。
講師:高嶋愛里(看護師・保 健師・医療通訳コーディネーター)
   政宗敦子(医療通訳コーディネーター・英語医療通訳者)

第10講 場面別ロールプレイ その②
グループに分かれて、場面別の通訳体験をしました。
母子保健現場で必要な入院助産制度の説明場面の通訳体験や動作指示があり、タイミングが重要な沐浴指導の場面についての通訳を行いました。

講師:高嶋愛里(看護師・保 健師・医療通訳コーディネーター)
   政宗敦子(医療通訳コーディネーター・英語医療通訳者)   


事業背景

グローバル化が進む現在、日本に住む外国人は220万人を超え、家族の呼び寄せや国際結婚などにより日本で妊娠・出産・子育てをする外国人の数も増えてき ました。しかし、日本で妊娠・出産には「ことば」の壁はもちろん、文化的な差異による混乱や戸惑いも多くあります。また妊娠から出産の場面では各機関でのさまざまな手続きが必要なため、困難を感じている外国人の妊産婦は少なくありません。そこで当センターでは母子保健分野における専門通訳者の育成します。 なお当養成課程は新年度から新規派遣する「外国人ママのための医療通訳者派遣事業」の即戦力となる通訳者育成を目的としているため、参加条件をもうけ、受講にあたり書類での選考を行います。受講者は養成課程を修了し、修了テスト合格すると、専門通訳者としてのセンターの認定を受け、ママを支援する医療通訳 派遣事業で専門通訳者として活動することができます。

課程の特徴
即戦力を身につける養成内容!
各 専門家が現場で活動するために必要な知識と技術を全10回計20時間以上 にわたって丁寧に指導します。また外国人患者、医療従事者をゲスト に招き当事者の「思い」や現場の「声」を伺います。※参加者は書類選考によって決定します。
専門医療通訳者の認定資格がもらえる!
養 成課程を修了し、修了後に実施するテストで合格点を取ると多文化共生センターきょうとの専門医療通訳者として認定。

医療通訳を仕事に!
認 定者を対象に4月よりセンターが実施する「外国人ママのための医療通訳者派遣事業」で 有償で通訳依頼を受けます。  (インターン期間有り)