2013年11月15、16日ドイツ・ベルリンで開催されたコミュニティ通訳の国際会議に行ってきました。ドイツ・スイス・ベルギーなどドイツ語圏の国を中心に、イギリス、スペイン、オーストリア、オーストラリア、ニュージーランド、オランダ等、約20カ国からのパネリストによる報告がありました。
通訳(人ではなく行為をさします)とは何か、中立とは何かといった概念的なものから、具体的な通訳制度・認定基準・トレーニングなどの事例、同行通訳と電話通訳の精度比較、ヨーロッパ全体のコミュニティ通訳の現状など、さまざまな角度から紹介・報告されました。
ヨーロッパの移民とコミュニティ通訳
1970年頃からヨーロッパのいくつかの国々では司法通訳に関する法律や基準・資格が策定されはじめ、その時代の状況に合わせ、現在まで何度も見直しが続いています。
学会に参加して特徴的であったと感じたのは、これらの報告のほぼ全てが「通訳者」を主語にしたものではなく、移民と政府・地方自治体・学校などその人とコミュニケーションを図ろうとする人、通訳者の三者を主語にされていたことです。また、発表者・参加者とも政府、政策立案者、サービス提供者(通訳派遣団体)、研究者、トレーナー、通訳者、異文化間メディエーター等、さまざまな立場の人がいたことです。
そして、法律や基準・資格と、通訳を使う仕組みのすべてつながっていることが、それぞれとても意味のあるものになっていると感じました。
移民の受け入れについてはヨーロッパ諸国でも議論が多くあります。しかし移民の受け入れ、医療観光の歴史は日本とは比べ物にならないほど長く、その中から今日本で参考にできる考え方や方法は多くあります。
この学会の報告を通して、ヨーロッパの移民施策やコミュニティ通訳を巡る状況、今最も議論されている内容についてお話したいと思っています。