選考会と新人研修

 年明けの1月は、医療通訳の講座と選考会が続いています。京都市医療通訳派遣事業では、医療通訳養成講座(2日)→選考会→新人研修と、現任医療通訳者の研修が終わりました。新人スタッフの病院研修がこれから続きます。2月は滋賀県の多言語医療ネットワークで、はたまた同様のクールが始まります。

選考会
 京都市医療通訳派遣事業の「選考会」についてちょっとだけお話します。この事業では講座の参加者を対象に筆記、面接と通訳テストで通訳者の選考を行っています。受験人数が多い場合は、筆記と面接で第一選考を行ってから、通訳テストを受けてもらう形になっています。大体3時間程度かかる結構長丁場のテストです。(言語が多いと私たちは一日仕事です・・・)
 筆記テストや面接、通訳テストですが、毎年センターで作成しているのですが、作っている側としてなんなんですけど、結構難しいですよ、はい。内容は、講座の中で取り上げたことを中心に、基本的な医療知識や通訳技術、倫理観を評価しています。倍率は年によって違いますが5〜10倍程度かな・・・(高いですね)。毎年数名の方が合格しています。いつも面接や評価に立ち会っていますが
受験者のみなさんは本当に真剣で、通訳になりたいという熱い思いが伝わってきて全員採用してあげたいな・・・と思ってしまいますが、でもそこは感情ではなくきちんと採点、評価をしています。

 ちなみに、この選考結果をお伝えする際には多文化ではちょっとだけこだわりがあります。

 選考会参加者には、みなさんのがんばりに答える意味で、点数と評価コメントを合否に関わらず全員にお伝えしています。もしかしたら、がっかりして読んでくれていないかもしれませんが、次のステップに繋がればと毎年、受験した一人ひとりにお送りしています。

 

新人研修
 選考会で通過した方には新人研修を行います。最初の研修では事業概要、業務規定、倫理規定などについて取り上げています。今年から、新たに選考会の時の通訳テストの自分の通訳映像を一緒に見て、振り返りを行っています。(もちろん了解を得て撮影していますよ!)
 これを聞くと「!!!!!」と思う方もいるかと思いますが、とても効果があるんですよ。自分の通訳の様子を見ることは普通できません。現場では物理的、倫理的にも決してできませんので・・・・
 ほとんどの人は初めて自分の通訳を見ることになります。映像を通じて客観的に自分自身の通訳を見ると、今まで気づかなかった自分の良い所、悪い所がよく 見えるんです。また、講師からこの部分はこう対応するというという指導を受けながら、どのように対応すべきだったかを振り返っていきます。今回は語学的な 部分を掘り下げるというよりは、通訳抜け、通訳者としての接し方や対応が中心に行いました。最初は「いや!!」と悲鳴をあげていた研修生も最後は真剣に見 入っていました。これは、実際に昨年スイスの医療通訳の研修で取り入れられていて、早速京都でもやろうと!導入しています。
 それからスイスの研修からもう一つ「スーパービジョン」も取り入れました。スーパービジョンは専門家の能力、経験を高めるために実施される実践的な訓練 法なのですが、現場経験のない新人通訳者には主に通訳現場の対処方法や倫理、現場事例を通して対応法を議論したり、考えたりしています。研修では「スーパービジョン」の機能の中でも、教育的、管理的機能なものを実施しています。これから活動を始めるというタイミングで実施することが大変効果的であると思 います。

 これから新人通訳者は病院研修に入ります。まだまだ道のりは長い・・・ですが共に頑張っていきましょうね!
(重野)